17世紀頃に建てられたという不思議な仏塔の写真を目にした時、すぐにも自分の目で見たくなり、ネパールの首都カトマンズへと旅立った。ヒマラヤの南面、標高1300mの渓谷。王宮や寺院がひしめく「カトマンズの谷」に、目指す仏塔スワヤンブナートはあった。尖塔の4面に描かれた大きな目玉はすべてを見通すブッダの眼といわれており、人々の崇拝の的となっている。13世紀から18世紀にかけて、カトマンズ、パタン、バドガオンの3つの町に仏教とヒンドゥー教が融合した独自の文化が発達し、900近い歴史的建造物が集中して残されている。その眺めは、異文化というものを強烈に意識させる。
ヒマラヤ山脈の麓、ヒンドゥー教の寺院バシュバティナートを訪れたのはちょうど祭りの日。異様な光景に思わず足を止めると、大勢のサドゥたちがマリファナを吸っていた。ネパールでは禁じられているのだが祭りのため大目に見るということなのだろうか。退廃的なシーンとして目に焼き付いた。