週刊 世界遺産×地球への讃歌 - 砂漠に蘇る海洋生物 クジラの谷[エジプト]

vol.18
2013年9月1日

砂漠に蘇る海洋生物 クジラの谷

[エジプト]

vol.19
2013年9月8日
vol.17
2013年8月25日

奇観の荒野に眠っていた
四本足のクジラのふるさと

■世界遺産登録吊/ワディ・エル・ヒータン(クジラの谷)
 砂漠に横たわる巨大生物の化石群。この地に棲息するはずのない正体上明の動物の骨が散乱しているのを見た地元の人びとは、この場所を「地獄の山」と呼んで恐れたという。
 二十世紀に入って化石の正体が判明した。これらは進化の途上にあったクジラの祖先の骨だったのである。
 発見されたのは、約四千年前に暮らしていた小型クジラ種のドルトンや原始クジラのバジロザウルス。ドルトンはクジラが完全に水中で生活するようになる前の姿で四本の足をもつが、後ろ足は退化している。つまりクジラは、かつて四本足で陸を歩いて暮らしていたのだ。それがいつしか水陸両生に、やがて完全な水生動物へと変わっていった。ワディ・エル・ヒータンはそうした進化過程を明らかにできる、クジラの歴史の宝庫ということになる。
 奇岩が並ぶ砂漠の真ん中にクジラの祖先の化石が横たわっている――その事実には、やはり驚愕を抑えられない。地球の隆起活動はこんなことまで当たり前のように起こしてしまうのだから。
 発見時の状態のまま置かれているのが、またすばらしい。博物館で見る化石標本とはまったく違った、現場の臨場感を味わえる。
富井義夫



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