週刊 世界遺産×地球への讃歌 - 神秘的な湖沼 九寨溝[中国]

vol.37
2014年1月12日

神秘的な湖沼 九寨溝

[中国]

vol.38
2014年1月19日
vol.36
2014年1月5日

異様なほどの透明感が漂う
美しい水に彩られた別天地

■世界遺産登録名/九寨溝の渓谷の景観と歴史地域
 チベット族の暮らす村(寨)が9つあることから、その名がついたといわれる九寨溝(チウチャイゴウ)。1970年代後半、森林伐採者に偶然、発見されるまで、この地域は世の中に知られておらず、地図にも載っていなかった(むろん昔からこの地に暮らしていたチベット族の人びとを除いて、の話だが)。
 手つかずのまま残っていた湖沼や滝は大小100あまり。さざ波さえ立たない静まり返った湖面、異様なほど透明度の高いエメラルドグリーンの水。山水画的な名勝とはまた違った別天地だ。
 驚いたのは、湖底に沈んだ倒木が朽ちる様子も見せずに静かに横たわっていたこと。これは冷たい地下水と石灰岩の地層に含まれる炭酸カルシウムのなせるわざだという。いったいどれくらいの年月のあいだ、こうして湖底に横たわってきたのだろうか。自然が織り成す不思議な光景を見つめていると、美しさを超えて少し不気味に感じられてくるほどだ。
 10年ほど前に空港がオープンし、九寨溝では観光客用の電気バスが行き来するようになった。アクセスが容易になった「秘境」がどう変わっていくのか。これからに注目したい。
富井義夫



vol.38
2014年1月19日
vol.36
2014年1月5日