週刊 世界遺産×地球への讃歌 - ブナの原生林 白神山地[日本]

vol.32
2013年12月8日

ブナの原生林 白神山地

[日本]

vol.33
2013年12月15日
vol.31
2013年12月1日

険しい山岳地形に守られた
貴重なブナの自然林

■世界遺産登録名/白神山地
 国土の4%を割って、絶滅の危機も指摘されるブナの自然林。白神山地にはそんなブナの貴重な原生林が広がっている。
 秋田県と青森県の県境にまたがる一帯は、人里離れた山岳地帯だ。その山の険しさが人間の侵入を阻み、伐採を免れてきた。
 ブナの実は栄養価が高く、小動物の格好のエサとなる。当然、小動物は肉食動物のエサとなって、生物間の食物連鎖が形成されてゆく。ブナも毎年、実を食べられていては存続できないから、5、6年に一度だけ大量に実をつけて種の保存を図るのだという。こうして、ブナは動物の個体数にも影響をおよぼしている。鬱蒼とした森の奥で繰り返されている生態系のドラマだ。
 紅葉の時期、ブナの葉は黄色く色づいていた。息が詰まるような輝きを放つ季節が過ぎると、やがてブナは葉を落とし、森は落ち着いた静けさに包まれる。スギやヒノキの植樹林では決して味わうことのできない、ブナ林の美しい営みがここにはある。
 白神山地のような原生的な林はもはや僅かしか残っていない。それを人間の手から守ることで、わたしたちは翻ってより多くのものを手にすることができるのだろう。
富井義夫



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