週刊 世界遺産×地球への讃歌 - 流氷が着岸する知床半島[日本]

vol.24
2013年10月13日

流氷が着岸する知床半島

[日本]

vol.25
2013年10月20日
vol.23
2013年10月6日

豊かな生態系を支える流氷は
オホーツクの冬の風物詩

■世界遺産登録名/知床
 1月中旬頃、無数の氷の塊がぶつかり、きしみ合いながら知床の海に押し寄せてくる。昨日まで波打っていた海面が一夜にして流氷で埋まることもあるという、知床の本格的な冬の到来だ。
 流氷誕生の発端は、遠くロシアの東方、アムール川がオホーツクの海に流れ出すことから始まる。アムール川の淡水によって塩分濃度が薄まった海水が氷結し、その範囲が1000kmにわたってどんどん拡大して、知床の流氷着岸を招く。
 極寒の知床の海は、一見、氷に閉ざされた世界のように見えるが、じつは流氷の底にはりついている植物プランクトンがエサとなって膨大な動物プランクトンが発生し、多くの魚を呼び寄せている。その魚を求めてやってくるのがトドやゴマフアザラシ、希少な海鳥たち。さらにはサケやマスを捕食するヒグマまで、多様な野生生物が食物連鎖のなかに暮らしている。つまり流氷は栄養の大元として、多くの生き物を根底で支えているのだ。
 やがて流氷が岸から離れ出漁が可能になると、オホーツク沿岸の町々では待望の「海明け」が宣言される。春の訪れが間近に迫る頃、豊かな生態系を支えた流氷は沖へと遠ざかってゆく。
富井義夫



vol.25
2013年10月20日
vol.23
2013年10月6日