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No.11 ウィーン歴史地区〔オーストリア〕|週刊 世界遺産×富井義夫 - 最新ヨーロッパの人気世界遺産めぐり

No.11
2014年6月29日

〔オーストリア〕

ウィーン歴史地区

Historic Centre of Vienna

 ハプスブルク家がウィーンを都に定めたのは13世紀。それから640年にわたってハプスブルク帝国は中央ヨーロッパの主として君臨し続けた。帝国はハンガリーやチェコなどさまざまな地域を支配下に収めて各地に華麗な宮廷文化の華を咲かせたが、いつの時もウィーンはハプスブルク家のホーム・グラウンドとして輝いていたのである。
 ウィーンは旧市街をぐるりと取り囲むように「リンク」と呼ばれる環状道路が走っている。リンクを造ったのはハプスブルク家の最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世だ。
 18世紀に起こったオーストリア継承戦争などで長い栄華を誇っていた帝国も疲弊し、ウィーンの人々の心はともすると離れがちになっていた。そこでヨーゼフ1世は、かつての国の輝きを取り戻すため、ウィーンの大改造という勝負に出た。彼はまず、町を守っていた城壁を取り壊した。そこに道幅58mの環状道路を造って、沿道にはギリシャ神殿のような国会議事堂やオペラ座、美術史美術館、市庁舎、ブルク劇場といった大規模な建造物を続々と建設していった。貴族たちもそれに倣ってリンク沿いに豪華な宮殿を次々と建てた。
 現在は、彼の築いたリンクの上をトラム(路面電車)が走っている。もともとリンクの建設はそんな具合に建物の建造も含めて進められたから、トラムに乗って車窓を眺めていれば、歴史的な建造物が次々と立ち現れてくるのを見ることができる。
 ちなみに、世界遺産に指定されているのはこのリンクの内側である。トラムで1周30分ほどしかかからない、徒歩でも十分に動けるエリアだ。24時間乗降自由のトラム・チケットを利用すれば、より効率的に街を散策することもできるだろう。
 ウィーンの宮廷文化といえば、まず「音楽」。ハプスブルク家の庇護のもと、ウィーンには内外からたくさんの音楽家が集まった。この町で活躍した音楽家の名前をざっと挙げてみても、ザルツブルクの宮廷音楽家を辞めてウィーンにやって来たモーツァルト、ほとんどウィーンを離れることがなかったといわれるシューベルト、交響曲の父ハイドン、ワルツで名を馳せたヨハン・シュトラウスなど、錚々たる顔ぶれが並ぶ。
 世界に誇るウィーンのコンサート・ホールといえば、楽友協会やコンツェルト・ハウスなどが有名である。世界遺産のシェーンブルン宮殿でも敷地内のオランジェリーで毎日、コンサートが開かれている。
 このうち楽友協会の大ホールは内部の装飾と音響のすばらしさから「黄金のホール」と呼ばれ、世界中の注目を集めている。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地もこの大ホール。世界40カ国以上にライヴ中継されるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートも黄金の間で演奏されるもの。
 一度、楽友協会でモーツァルト・コンサートを鑑賞したことがある。このときは演奏者が当時の髪型や服装をまとっていてなかなか愉快だった。それにホールの装飾や世界屈指といわれる音響効果も自分の目と耳で確かめられるのである。ライヴ演奏の醍醐味に、改めて気づかされたひとときだった。
 あるいはオペラを鑑賞したいなら、ウィーンには、マーラーやカラヤン、小澤征爾などが音楽監督を務めてきた国立オペラ座がある。皇帝ヨーゼフ1世の肝入りで造られたこの建物は、最高のオペラを多彩なプログラムで楽しめる世界屈指のオペラ劇場だ。もちろんここは音楽の都。ほかにも大小さまざまなコンサートが街の至るところで開かれている。ウィーンに滞在する機会があれば、一度はコンサートへも足を運んでみてはどうだろうか。
 街歩きに疲れたときはカフェでひと休みするに限る。ウィーンは昔からカフェ文化が浸透している町。老舗から最新の店までさまざまなカフェが営業している。気に入ったカフェを見つけたら、会話をしたり、ゆっくり本を読んだり、あるいは道行く人を眺めたり……。そしてひと息ついたらまた、いろんなポイントへ足を運んでみよう。モーツァルトの像が立つ王宮庭園、ブリューゲルのコレクションで知られる美術史美術館、分離派の世紀末建築物、シュテファン寺院、ハプスブルク家の夏の離宮だったシェーンブルン宮殿など、ウィーンの見どころはまだまだたくさんある。
 数年前になるがクリスマス・シーズンにウィーンを訪れたことがある。この町の冬の風物詩として有名なクリスマス・マーケットの賑わいを撮影しに行ったのだが、イヴの日の夕方からは市庁舎前の広場に据えられた巨大ツリーを撮ろうと決めていた。そしてようやく撮影を終えたクリスマス・イブの夜、重たい足を引きずりながら聖シュテファン大聖堂に立ち寄ってみたら、荘厳なクリスマス・ミサが行なわれていたのである。
 そのとき撮影したのが最初の1枚だ。礼拝堂は厳かな祈りの雰囲気に包まれていて、わたしも我知らず、心のなかでそっと「メリー・クリスマス!」とつぶやいていた。
 それが日本にいる家族に伝えたかったメッセージなのか、そのとき礼拝堂で偶然隣り合った人々と共有したかった挨拶のようなものだったのか、あるいは誰彼かまわずそう言いたくなったのか、それは自分でもわからない。ただ、あのときの昂ぶる気持ちと不思議な充足感だけは、いまもしっかり記憶の奥に刻み込まれている。
富井義夫




アクセス:ウィーン歴史地区〔オーストリア〕 【所在地】
ハプスブルク家の帝都として栄えたオーストリアの首都。この街のシンボルとして知られる聖シュテファン大聖堂をはじめとする中世の聖堂や修道院に始まり、バロック様式の建造物から近代建築まで、多彩な建築様式と文化の香りが現代に残されている。

【アクセス】
ウィーン国際空港から市の中心部までバスで約30分。