No.27 ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域〔イタリア〕|週刊 世界遺産×富井義夫 - 最新ヨーロッパの人気世界遺産めぐり

No.27
2014年10月19日

〔イタリア〕

ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域

Archaeological Areas of Pompei, Herculaneum and Torre Annunziata

 歴史ある都市には共通項がある。戦乱をくぐり抜けてきたこと、破壊と再生が繰り返されたこと、時代が求めた建築様式の洗礼を受けてきたこと。その都度、姿を変えて生き残ってきたのが「古くて歴史のある町」だ。しかし、ポンペイやエルコラーノは一瞬にして火山灰に埋もれた町。変貌の歴史をもたないゆえに、2000年も前の古代ローマの街並みが完璧に近い形で残っている。
 驚くのは、町づくりに注がれた信じられないほどの情熱とその完成度。道路ひとつを見ても車道と歩道がきっちりと分けられているし、月明かりや松明の明かりに反射して暗闇で光る特殊な石材まで埋め込まれている。神殿や食料市場で囲まれたフォロ(公共広場)や、お湯を張りさえすれば今でも入浴できそうな豪華な風呂まで、富裕層の暮らしぶりを伝える遺構にも事欠かない。
 禁欲的なキリスト教が広まるまで、この地が性に奔放だったのは有名な話。男女交合図が描かれた壁画などから当時の風俗を垣間見ることができる。
 出土した壁画のなかで特に鮮やかな赤を基調としたものはポンペイレッドと呼ばれるが、その前に立つと、2000年前のものとは思えない鮮烈な色彩が広がっていた。
富井義夫




【所在地】
イタリア南部、カンパーニャ州ナポリ県にポンペイ市はあるが、その西方に古代のポンペイの町全体が遺跡として保存されている。また、その近郊にもエルコラーノとトッレ・アヌンツィアータの遺跡が発見されている。

【アクセス】
ポンペイへは、ナポリ中央駅から列車で約30〜40分。エルコラーノへは、ナポリ中央駅からエルコラーノ駅まで列車で約20分。トッレ・アヌンツィアータへは、ナポリ中央駅から列車で約40分。