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No.08 ドゥブロヴニク旧市街〔クロアチア〕|週刊 世界遺産×富井義夫 - 最新ヨーロッパの人気世界遺産めぐり

No.08
2014年6月8日

〔クロアチア〕

ドゥブロヴニク旧市街

Old City of Dubrovnik

 グランブルーの海に浮かぶ古都ドゥブロヴニクは「アドリア海の真珠」と称えられる。分厚い城壁のなかに、ぎっしりと並んだオレンジ色の屋根。真珠と呼ばれるこの町の美しさは本物だ。
 街の全体像を知るために、まずは城壁の上を歩いてみることにした。城壁の厚さは約6m、いちばん高いところは高さ25m。町を囲む全長約2kmの城壁はぐるりと一周することができる。
 実際に登ってみるとかなり高いが、そのぶん町を歩くだけでは見ることができない美しい屋根瓦や紺碧のアドリア海をあらゆる角度から眺められる。
 城壁には外敵を想定した要塞や塔も築かれている。ドゥブロヴニクがあるのはヨーロッパでも古くから「火薬庫」と呼ばれた紛争多発地域。ビザンティン帝国やハンガリー王国など町を支配する宗主国が変わるなか、巧みな外交戦術と堅牢な城壁が町の自治を守ってきたのだ。城壁の途中にあるロヴリエナッツ要塞の碑文にはこう書かれていた。
 「あらゆる黄金をもってしても、自由は売らず」
 城壁を一周したので旧市街に出てみた。ツーリストのほとんどはアクセスのいいピレ門から旧市街へ入ってくる。ピレ門を抜けると目の前はメイン・ストリートのプランツァ通り。右横にあるのがオノフリオの大噴水だ。1438年に建造された施設で、12km先の源泉から水を引いている。噴水といっても水が吹き上げているわけではなく、16面造りの顔のリレーフから水が出ている水飲み場である。
 通りの左手にあるのはフランシスコ会修道院。この修道院は古くから病院や薬局の機能を果たしていたことがわかっているのだが、驚いたのはヨーロッパで3番目に古い薬局がいまも現役で営業していること。特に欲しい薬はなかったのだが、店のなかをのぞいてみると、カウンターの上にアスピリンのレトロな広告が飾られていた。
 いったんホテルに戻り、夕方、食事も兼ねて再びプラツァ通りに出る。この通りは夕闇が迫るにつれてぐんぐん魅力を増してくるようだ。何百年も人々が歩き続けたプラツァ通りの石畳は摩耗して、オレンジ色の街灯が反射するほどピカピカに磨かれている。
 手頃なレストランを探して目抜き通りから路地へ入ってみたが、坂道が想像以上に多い。これは地図ではわからなかった。路地には地元の人向けの店も営業していて、庶民的な雰囲気が漂う。公共利用のための噴水、薬局など、この町は暮らしのすべてが城壁内でまかなえるつくりになっているから、ちょっと歩くだけで町の様子があれこれ垣間見れるのが楽しい。
 こんな美しい街に砲弾の嵐が降ったとはにわかに信じがたいが、1991年、旧市街地を見下ろす山頂からの砲撃や空爆で町の7割が損傷を受け、死傷者が出た。クロアチア紛争である。二十数年で完璧な観光都市として蘇ったドゥブロヴニクだが、町のちょっとしたところにその傷跡はうかがえるし、なにより人々大きな心の傷を負った。
 平和な日々の暮らしの恩恵を受けている旅人だからこそ、平和への想いを意識できる自分でありたい。ドゥブロヴニクの輝くようなメイン・ストリートを眺めながら、そう思った。
富井義夫




アクセス:ドゥブロヴニク旧市街〔クロアチア〕 【所在地】
クロアチア南部、ダルマチア地方に属し、アドリア海に面して位置する。城壁に囲まれた旧市街と、城壁外の歴史地区の一部が文化遺産に登録されている。

【アクセス】
ドゥブロヴニク国際空港から市街までバスで約40分。