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No.03・04 レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観|ユングフラウ・アレッチュのスイス・アルプス〔スイス・イタリア〕|週刊 世界遺産×富井義夫 - 最新ヨーロッパの人気世界遺産めぐり

No.03・04
2014年5月11日

〔スイス・イタリア〕

レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観|ユングフラウ・アレッチュのスイス・アルプス

Rhaetian Railway in the Albula / Bernina Landscapes Swiss Alps Jungfrau-Aletsch

 万年雪を頂いた山の雄姿とアルプスの牧歌的な風景。子どものころに絵はがきを見て、いつか行ってみたい! と胸をときめかせた風景がいま目の前にある。それだけで旅の目的の半分は果たした気分になってしまった。それほどまでにアルプスの絶景には心を震わせる何かがある。
 今回の旅はスイスのミューレンという村へ入ることから始まった。ミューレンは谷にそそり立つ崖の上に、鳥の巣のように収まっている小さなリゾート村。町中はガソリン車の乗り入れが規制されているので、澄んだ空気、アルプスの素朴な雰囲気が保たれていて、高山植物が咲き誇る季節には世界中から観光客が集まってくる。
 ミューレンの町から望む山の景色も美しいが、ミューレンからケーブルカーで数分行けば、アイガー、メンヒ、ユングフラウの三大名峰を思いのままに眺められるアルメントフーベルという絶景ポイントに出られる。アルメントフーベルは「花の谷」の意味。その名のとおり色とりどりの花が咲き乱れる。足元に高山植物、眼前にアルプスの名峰を眺めながらハイキングを楽しむ人も多い。
 翌朝、ヨーロッパでもっとも高い場所"Top of Europe"にある駅ユングフラフヨッホに向かうため、ミューレンの駅に出向いた。出発前から知っていたことではあるが、ミューレンからユングフラフヨッホまでの往復運賃がふたりで3万円もかかるのにはやはり驚いた。乗り換えを含めても乗車時間は片道2時間半程度にすぎない。少し高すぎないか。
 そうはいってもどうしようもないわけで、とにかく切符を買って電車に乗り込む。途中、クライネ・シャイデックで、乗客は全員ユングフラウ鉄道の登山列車に乗り換える。特殊なレール構造を走る列車でないと急勾配を登り降りすることができないからだ。クライネ・シャイデックから終着駅ユングフラウヨッホまで1394mの標高差を結ぶユングフラウ鉄道は、ほとんどがアイガーの岩盤に掘られたトンネル内を走る。この路線は16年がかりの敷設工事の末、1912年に開通したスイス自慢の登山鉄道だ(ちなみにこの年は大正元年。2年後の1914年に東京駅が開業し、東京=横浜間が開通している)。
 鉄道が敷かれる前から多くの登山家の行く手を阻んできたアルプスの高峰群は、雪に閉ざされた究極の難所といっていい。ところが、紀元前に4万もの兵を率いてアルプス越えをしてしまった人物がいる。カルタゴの将軍ハンニバルだ。彼が遺した言葉に次のようなものがある。「道は我々が見つけるか、でなければ我々が造るのだ」。
 まさにこの言葉どおり、スイスはアルプスを貫く「新しい道」を自らの手で創り出したのである。
 40分ほどトンネルを走って、列車は終着駅ユングフラウヨッホに到着した。海抜は3571m。富士山の9合目に匹敵する高所にある駅だ。
 エレベーターで展望台に上がれば、そこは一面の銀世界。ユングフラウやメンヒが一望できる壮大なパノラマが広がっている。南側に目をやれば、アルプスで最大・最長といわれるアレッチュ氷河の源流も見ることができる。
 アレッチュ氷河や三大名峰もそうだが、見晴らしのいいビューポイントに展望台が備わっているのは観光立国スイスならでは。スイスは鉄道王国でもあるからポイントへのアクセスもしっかりしている。ハイキングやトレッキング計画を織り込みながら、トーマスクックの時刻表を片手に自分だけの鉄道の旅を組み立てるのも楽しいだろう。
 さて、スイスの鉄道といえば2008年に世界遺産に登録された路線がある。スイス最大の私鉄レーティシュ鉄道が走る、アルブラ線とベルニナ線だ。
 初めてベルニナ線を見た日、わたしはイタリアの世界遺産を撮影して回っている最中だった。たまたまこの路線が世界遺産になった直後だったので、様子うかがいの軽い気持ちで、ティラーノ駅までレンタカーを運転して出かけてみたのだ。その日はこの上ない晴天に恵まれていた。どう見てもこれは鉄道日和じゃないか……そう思うと、居ても立ってもいられなくなり、レンタカーを駅近くの駐車場に止めっぱなしにしたまま、いそいそとベルニナ急行に乗り込んだのである。
 普通、この路線はスイスからイタリアのティラーノまでとされているので、わたしは逆方向に乗ったことになる。列車はすぐにスイス国内へと入っていくのだが、その前にお楽しみが1つ。なんとティラーノの街中では、車と同じ路面を走るのである。これから万年雪を頂いた山や氷河の真横をすり抜けていこうというパノラマ列車が、一部区間とはいえ街の広場の脇を普通に走行するのは実におもしろい。
 2253mから429mまでの高低差を結ぶベルニナ線は、自然の景観を縫うようにヘアピンカーブを走っていく。圧巻は石造りのループ橋。日本の高速道路でもぐるぐると円を描きながら一般道路に降りていく道があるが、あの鉄道バーションだ。弧を描き完全に1回転しながら土地の高低差を解消していくのだが、まるでアトラクションの乗り物である。
 鉄道旅行には、鉄道旅行でしか味わえない醍醐味がある。個人的にはスイスの鉄道で途中下車の旅ができたら、といつも夢想している。美しい村でふらりと降りて駅舎を眺め、牧歌的風景のなかを思う存分に歩く。いつか実現してみたい、わたしのささやかな夢である。
富井義夫




アクセス:レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観 | ユングフラウ・アレッチュのスイス・アルプス〔スイス・イタリア〕 ユングフラウ・アレッチュのスイス・アルプス
【所在地】
スイス中部、ベルン州およびヴァレー州に属するベルナー・オーバーラント山群の名峰と氷河が登録対象。
【アクセス】
チューリヒ国際空港からインターラーケン・オスト駅まで直通列車で約2時間15分、そこから登山電車で途中、ラウターブルンネン、クライネ・シャイディック乗り換えでユングフラウ・ヨッホ(3454m)まで約2時間。また、アレッチュ氷河の展望台として有名なベットマーホルン(2652m)へは、ベルンからブリークまで特急列車で約1時間10分、次いでベッテンまで列車で約30分、そこからロープウェイを乗り継いで約15分でベットマーホルン。


アルブラとベルニナの景観とレーティッシュ鉄道
【所在地】
アルブラ線はヒンターランド地方のトゥージスからサンモリッツを結ぶ67km。また、ベルニナ線はサンモリッツからアルプスを越え、イタリアのティラーノに至る61km。
【アクセス】
チューリヒ中央駅から特急列車でトゥージスまで、クール乗り換えで約1時間45分。チューリヒ中央駅から特急列車でサンモリッツまで、クール乗り換えで約3時間30分。ミラノから特急列車でティラーノまで約2時間30分。