vol.33
2012年11月11日

福建の土楼

[中国]

vol.34
2012年11月18日
vol.32
2012年11月4日
客家人の創造力が生み出した
巨大な集合住宅
■世界遺産登録名/福建の土楼
 中国山間部ののどかな農村地帯に、客家人(はっかじん)が建てた特異な巨大住居がある。その数は福建省に残るものだけでも3万棟あまり。コロッセウムを髣髴とさせる円形のもの、方形のもの、幾何学模様のように連なる建物群など、形状も多彩だ。
 なかでも「土楼の王様」といわれる承啓楼は、同心円状に四重の土楼が建つ重厚な造り。室内は1階が厨房、2階が穀物倉庫、3、4階が居住空間。建物は分厚い土壁で築かれ、低層には小窓ひとつない。当時の客家人は他民族との衝突のさなかにいた。彼らは身を守るため、団結して要塞のような集合住宅を築いたのである。
 承啓楼にはいまも57の家族、約300人が暮らす。訪れた多くの土楼の中庭では鶏が放し飼いにされ、子どもたちの遊ぶ声が響いていた。土楼は生活感あふれる現役の建物なのだ。
 撮影中、振成楼という土楼に宿泊したのだが、円形の建物の小部屋で横になると、自分の心が遠心力に引かれていくような不思議な感覚を味わった。数百年前、戦乱のなかで移動と定住を繰り返し、地元民からよそ者として「客家」と呼ばれた人びと。土楼はそんな彼らが生き抜くために生み出した、傑出した建造物である。




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