大地震で時を止めた
古き良きグアテマラの町角
■世界遺産登録名/アンティグア・グアテマラ
アンティグア・グアテマラとは「古きグアテマラ」という意味で、かつてグアテマラの首都だった町の名称である。1773年の大地震で大きな被害を受け、首都は現在のグアテマラ・シティの場所に移された。そのときから都市としての発展が止まったため、かえって当時の面影がそのまま残っている。
標高が高い町に特有の青い空と、石畳を敷きつめた路地が気持ちいい。町には地震の爪痕が残る古い教会や建物が多く、なかには廃墟と化した修道院も見受けられるが、それもまた古い歴史を感じさせる。民家に平屋建てが多いのは地震対策だろうが、どことなく昭和三、四十年代の日本に似た懐かしさを覚えてしまった。
町をぶらぶらしていてメルカド(市場)にぶつかった。露天の店にはグアテマラ各地のマヤ先住民が持ち寄った手織の布や野菜、南国を思わせるフルーツなどが並べられている。
行商の女性たちが着ているウィピルという民族衣装は、マヤ文明時代から伝わるもの。鮮やかな色の組み合わせが美しい。ウィピルの文様や色づかいは出身地などによって異なり、その織り方は代々、母親から娘に大切に受け継がれているという。