ボロブドゥル寺院と双璧をなす
意匠をこらした石材建築の世界
■世界遺産登録名/プランバナン寺院遺跡群
ジャワ島でボロブドゥルと双璧をなすプランバナン遺跡。この2つの遺跡は同じ9世紀に建造され、敷地も近いところにある。
仏教寺院群のボロブドゥルに対して、プランバナンはヒンドゥー教の寺院群。ヒンドゥー教では破壊神シヴァは最高神のひとつだが、シヴァ神の妻ロロ・ジョングランの名を冠されたロロ・ジョングラン寺院は、プランバナンのなかでも群を抜く壮大な建物だ。
天空にそびえる巨大な6本の尖塔。壁面をレリーフが飾り、細部まで緻密な浮き彫りが施されている。この建物から遺跡群を見渡してみたが、あらためて膨大な石材建築の世界に圧倒された。
ヒンドゥー教寺院に交じって、複数の仏教寺院が「同居」しているのもおもしろい。セウ寺院もプランバナン史跡公園内にある仏教寺院のひとつ。入口で向き合っているのは地元の人たちが守護神として崇拝しているクペラの像だ。
現在、ジャワ人の大多数はイスラム教徒を名乗るが、にもかかわらず人びとは古くから伝わる民間信仰を大切にしながら暮らしているという。そんなおおらかな宗教観が、ヒンドゥー教寺院と仏教寺院を共存させてきたのかもしれない。