vol.22
2012年8月26日

シルクロードの薔薇 パルミラ遺跡

[シリア]

vol.23
2012年9月2日
vol.21
2012年8月19日
夕陽に包まれた遺構が映える
荒野の果ての荘厳な廃墟
■世界遺産登録名/パルミラの遺跡
 平山郁夫画伯の作品に『パルミラ遺跡を行く・朝』というリトグラフがある。ラクダに乗る一群の背後に描かれた列柱のシルエットが、遺跡の姿を髣髴とさせる絵だ。どんな場所だろうかと荒野をバスに揺られながらうつらうつら考えていたとき、突然、ナツメヤシの緑に包まれた建造物が目に飛び込んできた。
 シルクロードの隊商都市として栄えたパルミラのメインストリートは、巨大な柱が750本も並んでいた列柱道路だ(150本が現存)。その中央に堂々たる四面門がそびえる。この遺跡は観光客の姿もまばらで、立ち入り禁止のロープも見られない。32年に築かれたベル神殿には柱の残骸が無造作に転がったままだ。
 272年、クレオパトラの末裔を名乗る女王がパルミラの独立を画策。ローマ軍の猛攻に合い、彼女が金の鎖につながれてローマに連れ去られたとき、この街は歴史の舞台から姿を消した。
 遺跡の近くにアラブ人が建てた砦がある。ここから眺める夕陽に染まった列柱や神殿跡がなんとも美しい。「兵どもが夢のあと」というが、夢のあとでさえこんなに甘美に感じられる場所はそうはない。砂漠に忽然と残る遺跡は、静けさに包まれた荘厳な廃墟だった。




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