vol.13
2012年6月24日

アルベロベッロのトゥルッリ

[イタリア]

vol.14
2012年7月1日
vol.12
2012年6月17日
おとぎの国のような家屋は
農民の知恵と不屈の力の結晶
■世界遺産登録名/アルベロベッロのトゥルッリ
 オリーブ畑が広がるのどかな南イタリアの風景を電車の窓から眺めていると、白い壁の上にとんがり屋根をのせた不思議な家が見えてくる。トゥルッリと呼ばれる、この地方独特の住居だ。
 アルベロベッロは、そんなトゥルッリが1600軒あまり建ち並ぶ街。気持ちのいい天気だし、少し歩いてまわってみることにした。
 澄み切った空の下では、白壁の上に灰褐色の石灰岩を積み上げた家並みがひときわまぶしく感じられる。そんなトゥルッリがびっしり並んだ路地裏を歩いていると、なんだかおとぎ話の国に足を踏み入れたような気持ちになる。家々の屋根に描かれた星や十字をかたどったシンボルマークも、そんな気分をいっそう掻き立てる。
 ただ、こんな特異な住居が建てられた理由が、圧政者の命令でただちに取り壊せる構造の家だけが農民に許されたため、と聞くと、メルヘン気分ばかりに浸ってもいられなくなる。石組みの屋根は即座に屋根を取り外すための装置であり、石灰岩は身近にある乏しい材料を使った農民の知恵だったというのだ。それでもアルベロベッロの住民はおおらかで明るい。農民の持つ穏やかだが粘り強い力はいまも受け継がれている。そんな思いがした。




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